翻訳共役型ハイパーサイクルでは、ポリヌクレオチド鋳型 P は複製されるだけでなく、ポリペプチド産物 Xへと翻訳される。これら2種は可逆的に結合して複合体 PXを形成する。会合定数 K は複合体種と遊離種の平衡分配を規定するため、複製に利用可能な遊離鋳型の量を左右する。
結合反応は可逆的である:P + X ⇌ PX。慣例により、平衡会合定数は K = [PX] / ([P][X]) と定義される。K が大きいほど結合複合体 PX が有利になり、K が小さいほど遊離成分が有利になる。平衡状態では [PX]/[P] = K[X]、[PX]/[X] = K[P] が成り立つため、K と相手方の遊離濃度が共同して複合体と遊離種の比を決定する。
質量保存と遊離鋳型
質量保存則により、総濃度は遊離型と結合型に分配される:[P]tot = [P]free + [PX] および [X]tot = [X]free + [PX]。複製ステップは総鋳型濃度ではなく、遊離鋳型濃度 [P]freeに依存する。したがって複合体形成は遊離鋳型を減少させ、実効的な複製フラックスを低下させうる。
- 結合割合は K および遊離 X の増加とともに大きくなる。 K[X] が低いと鋳型のほとんどが遊離状態で残るのに対し、K[X] が高いと複合体形成は飽和する。
- X は翻訳によって産生されるため、複合体形成はポリペプチド合成を鋳型の利用可能性、ひいてはハイパーサイクル複製動態に共役させる。
X 過剰近似
X が過剰な場合、結合鋳型の割合はおよそ K[X] / (1 + K[X]) で与えられる。K[X] ≈ 1 で約50%、K[X] ≪ 1 では低く、K[X] ≫ 1 では飽和に近づく。この単一の比が、複合体が鋳型をどれだけ強く捕捉するかを要約している。
より広いハイパーサイクルの描像では、この可逆的捕捉が系を異なる領域間で移行させる。K[X] が小さいときは鋳型のほとんどが遊離状態にあり、翻訳共役型ハイパーサイクルは基本的なハイパーサイクルや単純な触媒サイクルのように振る舞いうる。K[X] が大きいときは、複合体形成が複製から遊離鋳型を奪い、振動を減衰させたり、リミットサイクルの振幅を変化させたり、系を低濃度領域へ押しやったりしうる。ホップ分岐近傍では、このような実効フィードバックの変化が臨界緩和や振動状態の安定性を変化させうる。
